Don't settle for shallow.
Basic Understanding 3
美味しいお燗酒と出会うために、知っておくべきこと その2
「お燗にして美味しいのは、純米酒」。前話でお伝えしたことですが、残念ながら、まだこれだけでは足りません。純米酒ならなんでもかんでもお燗にすれば美味しくなるというわけではありませんし、それを見極めて最適な方法で温めてくれる人の力が必要です。つまり、あなたが美味しいお燗酒を飲むためには、その手助けをしてくれる良いお店を見つけ出さなければならいないのです。
冷やして飲むことを前提に造られるお酒が多いことは既に書きましたが、冷やして飲ませることしか考えていないお店も多いのです。そういうポリシーのお店があっても構いませんが、お酒の提供者でありながら、お燗の良さを知らずにやっているとすれば問題です。
一番避けるべきは、メニューに「熱燗」としか書かれていないお店です。お酒にはいろんな個性があって、それを楽しむのが醍醐味であるのにも関わらず、その楽しみをお客に提供することを放棄して、「熱燗なんてどれでも一緒でしょ」くらいの認識しかないのですから論外です。
また、お燗にすれば美味しいお酒を置いていても、やり方が拙い店もあります。お燗酒にこだわりのないお店は、お燗を頼むと大抵レンジで「チン」したお酒が出てきます。頼んですぐに出てきたり、厨房から「チン!」という音が聞こえたりしたら、それは不運な知らせです。レンジでは急激にお酒の温度が上がるので、風味が損なわれたり、バランスが崩れたりすることがあります。何より、安易に温めようという心構えが不届きなので、こういうお店もお勧めできません。
では、どういう方法が良いのかというと、「どうこ」という酒燗器か、お湯を張った鍋に徳利を入れて間接的に温める「湯煎」という方法がベストです。カウンターの上などに湯気の立ちのぼる立方体の機械があればしめたものです。じわじわと時間をかけて温め、美味しい温度を見計らって出してくれるお店こそが、良いお店。あなたを素晴らしい体験に導いてくれることでしょう。