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初心者の特権? ワイルドに能を楽しむ方法

Yuki Ishida

Author石田 有紀

「古典や歴史の知識があればより深く楽しめる」という意味では、「能」が知的な芸術であることは間違いありません。ですが、人生が「難しいからこそ面白い」と言われるのと同じように、その小難しさも含めて楽しんでしまう、という見方も一興です。

たとえば、予備知識にも字幕にも音声ガイドにも頼らず、自身の目と耳と想像力だけをフルに使ってワイルドに、そして直感的に楽しむーーという鑑賞方法は、初心者にだけ許される特権ではないでしょうか(チラシに書いてある「あらすじ」くらいは読んでおきましょう)。

白足袋で床を摺る様がなめらかで美しい「運び」、笛・小鼓・大鼓・太鼓が一体となって観客をトランス状態に誘う「お囃子」、独特な旋律でセリフの代わりに情景やドラマを語る「謡」、芸術品としてもその美しさに息を呑む「能面」…。能に限らず、生の舞台や芸術を楽しむ「感性」さえあれば、無理に解釈しようとしなくても、何か自分のアンテナに引っかかるポイントが必ずあるはず。「能」はそれだけ優れた芸能なのです。

そして、「もっと見てみたい」と思ったときにこそ、物語の深いところを覗いてみましょう。「あらすじ」だけで物足りなければ、台本(謡本)を読んでみる、原作を調べてみる、公演とセットになった事前講座に参加してみるなど、「理解したい」度合いによって、アプローチは様々。

ですが、能をより深く味わうために一番重要なことは、やはり何度も観てみること。同じ演目でも演者によってまったく違う舞台になりますし、どれだけ完璧に物語を理解していても、その芸の深さや舞い手の個性などを味わうには、自分の「目」だけが頼りです。

能の公演は、連続公演で行われる他の演劇や歌舞伎などと違って、ほとんどがその日限りの上演です。まさに一期一会。気になるポスターやチラシ、見てみたい演目や演者、行ってみたい能舞台(能楽堂)、たまたま予定が空いている…どんな理由でもいいので、思い立ったらまず劇場へ! 同じ舞台は二度とないのです。

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